NEM_アポスティーユ

ブロックチェーンとアポスティーユの考察①:存在の証明について

この記事は約 10 分で読めます。

存在の証明

 

ブロックチェーンの特性を生かした公証サービスにNEMアポスティーユがあります。
これはある何らかの構造体が、申請日の瞬間存在していたことの証明を、ブロックチェーンに刻むことによって可能にします。

 

 

具体的にいえば、

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アポスティーユ公証画面を開いた状態および適当なタグを入力後、公証を申請したいファイルをアップロードするとそれらのファイル情報はブロックチェーンに書き込まれ、タイムスタンプの押された証書と共にid付与された申請ファイルが返還されます。

 

アポスティーユについての詳しい記事はこちら:→※準備中です。
→トレストさんの作成したNEMアポスティーユのホワイトペーパー日本語訳をリンクしておきます。

 

これは不動産の登録や様々な契約時等に広く応用が可能だと思われます。

ただしここでは概念上より、すこし実際的問題に着目します。
公証される(された)物と、刻印された公証データとの距離についてです。
ここで公証される、された物については、便宜上、「公証体」と称します。
刻印された公証データについては、「公証データ」と称します。

なお法律的知識もなく個人的な見解のため、議論的な提言であることは留意をお願いします。

 

公証体と公証データの距離:間接公証体・直接公証体

 

前述した公証を予定された構造物「公証体」の定義を行いたいと思います。

これには種類の定義として、

  1. A:デジタル上で制作され、存在がデジタル上で完結しているデータ的価値を持つもの
  2. B:この世界で現存するなんらかの構造物、創作物、等、物質的重さを持つもの
  3. C:複数人間での借用等の概念上の合意形成などの物質的重さのないもの

の3つに分類されるのではないかと思います。

 

考えていることを実例で説明します。

具体的には、種類の定義上のAについては、公証予定の構造物をそのままデジタルデータとして入力を予定できるもの、例えばデジタル写真、mp3形式の音楽アルバム、完成されたイラスト、ロゴマーク等、デジタルにおいて作成されたもの全般が考えられます。
つまりそれ自体が、デジタル上で意味を内包し、外部参照の必要性が存在しない構造物です。
これを便宜上、直接公証体と称します。

→追記:はじめは、絵画写真を直接公証体と定義していました。
しかし、外部参照の必要性がないものが直接公証体としての定義として正しいとは思いますが、絵画、写真などについては、それが現実の世界に油絵、フィルム写真などとして現実的重さをもつという状況下である以上は、デジタル上に表現した時点で間接表現であり、これれらは間接公証に含まれるべきだと考えを改めました。

ただし、デジタルの芸術、これも適当なワードが思いつかないのでここでしか通じませんが、拡張芸術・あるいはARからとってARアート(オーグメンティッド・リアリティ・アート)と呼称できるような、現実で生み出されたものがサイバー空間で独立し価値を持つような公証に裏付けされた新しいアートの形態が創出された場合、絵画・写真等はその限りではないと考えます。
ここでのARアートとは、価値の証明されたデジタルフォトフレームの新形態のようなものを想定しています。
これについては考察②で書いていきたいと思います。

 

種類の定義上Bにおいては、上記追記したように、不動産、ペットの血統書、その他権利書、車のシリアルナンバー等、公証体と公証データが記号記述を介した一定の距離のある間接的な繋がりで保持されているものと、平面上表現が可能ではあるがデジタルに変換する時点で現実的な重さの持つもの、絵画、フィルム写真、あるいは当初の記号的役割を抜け出て書類それ自体が意味をなすもの、例えば死海文書、坂本龍馬の手紙、なども含まれると想定されます。

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また、種類の定義上Cにおいては、借用書、締結書、契約者等の、概念上に存在する人間間の間接的なつながりを保持するもの、を指します。
これらB,Cを便宜上、間接公証体と称します。

 

また3つの予定された公証体の公証方法として、前述の1.A、2. B、3.Cに対応して

  1. :デジタル表面上にそのまま表現できる構造物の場合、その構造物の形態のまま公証し存在を証明する
  2. 3.:デジタル書面に概念的に記号として書き表わしその情報を介して公証体の存在を証明する

という用い方が考えられます。

 

 

誠実な公証人

 

おそらくこんなことを言及しなくても、法律で適切な規制がしかれているのでしょうが、個人的な思考整理のために記述していきます。

直接公証体の場合、そのデータは証明に必要な提出体と実体が内包的であり、それ自体が意味を構成するので、たとえ直接公証体がなんらかの偽装的、無意味的、悪意のある構造物であったとしても、それ自体で公証が完結しているため、実害はなく、またブロックチェーン公証を用いて証明は完了していると考えられます。(ただし、不正コピーなどの問題はまた別途あると思います。)

一方、間接公証体の場合、提出され公証されたタイムスタンプの押された諸構造物は、その書類自体に意味はなく、その記号記述が表し介する、現実的重さ、あるいは契約書等における複数人間における合意の証明に意味を持つものであり、その点において直接公証体と相違が示されます。

ここで間接公証体は、その単一の公証のみでは、外部にある意味の重さを持つ構造物について、単一の証明が究極的に完全であっても証明が完了しないというループに入っていることが分かります。
いくつか相違点があると思いますが、ゲーゲルの不完全性定理のような、究極的な無矛盾性をもつ単一公式の真理証明実践の不可能性、に類似していると考えられます。
(ゲーゲルの不完全性定理:単純な結論だけいうと、数学は真理を掴めない。)

 

こんなことをいうと実需製品の応用なんて永遠に届かないとわけですけど。
哲学的な問題を持ち込むべきではないかもしれません。

 

世界の全てのものを疑ってみても、そうやって疑っている限りにおいては、私は存在するけど、1秒前の私は、悪魔によって勝手に記憶を植えつけられて仮構された私なのかもしれないから、今この瞬間疑っている私しかいないんだよ、と、ほとんど情報量0のものにたどり着いて、これだけは信頼できる確固とした存在なんだと主張した。
http://jougetu.hatenablog.com/entry/2016/05/03/164301

 

ところが、その確認たるや、秩序のややこしさにそっくり対応した、おそろしく煩瑣なもので、あらゆる種類の証明証……契約書。免許証、身分証明書。使用許可証、権利書、認可証、登録証、形態許可証、組合員証、表彰状、手形、借用証、一時許可証、承諾賞、収入証明書、保管証、さては血統書にいたるまで、とにかく思いつく限りの紙切れを、総動員しなければならないありさまだ。(中略)
だが、はたして、証明書はこれで終いなのだろうか?……まだ何か証明し忘れているのではあるまいか?……(中略)証文は、けっきょく、無限にあるらしいのだ……

『砂の女』、安部公房、新潮文庫

 

こんな気分になります。

 

だからこそのブロックチェーン

 

それだからこそのブロックチェーンだと思うのですが、つまり多人数による証明。
ただし、ここまで考えてきてアポスティーユというのは、ここでいう間接公証体においては、ブロックチェーン的な合意形成を前提とした、というより合意形成を抜きにした、ブロックチェーン書き込み機能なのではないかと思ってきました。
はたしてそれが意味があるのか?というと、今のところ直接公証体に向けての証明機能なのではないかと。

→追記:ネームスペース(NEM上のトークンという認識です)との合わせ技で、例えば高級品を製造している企業が企業発行のネームスペースを使ってブロックチェーン・アポスティーユ公証を行うことによって、その企業が信頼できる場合において、レガシーなシステムと比較して、改変不可能性による登録内容の信頼性や、トレーサビリティ(追跡性)などの確保がなされるようです。

また、ここでいう間接公証体的証明の証明について、タヌさんが言及していますが

今回のケースは、ある程度の信頼関係がある2名によるやり取りであり、簡易的な借用書なので厳密な書面ではないかもしれない。また、本当に水無氏が証書を発行したという保証があるのか?これだけでは水無氏の身元が保証できないのでは?といった議論が一部で沸き起こった。

それはそうである。その辺りは「存在の証明」を証明する仕組みが別途必要だと思う。

(意味のないことを書いてるんじゃないかと不安になっていたときの、タヌさんの記事を見つけたときの安心感!)

 

これは個人的な愚考であり1アイデアにすぎないのですが、今後、間接公証体における(ちなみに再度言いますがこのワードはこの記事内でしか通用しませんよ)、合意形成後のアポスティーユによるブロックチェーン書き込み機能なども追加されたりするのではなどと考えています。
先日、ブロックチェーンを利用した投票機能も追加されたようですしね。

 

これを説明しだすとまた長くなりそうなので短く書くだけにしますが、例えば「この猫はロシアンブルーである」、というのを、誠実であるようにするなんらかのインセンティブが存在する投票、あるいは賭けの市場と連結し(Auger、GNOSISなど?)、真実の形成を行い、確認の取れ次第アポスティーユ、あるいはその他なんらかのブロックチェーン公証をもつサービスを利用してブロックチェーンに書き込む、など。

この賭けによる合意形成は、イーサリアムも2017年現在で進行中の、実地試験はパブリックで行われていなく、完全な信頼性を寄せることはできませんが、理論上では合意形成においての一定の効力を発揮すると考えています。

追記:ただしこの方法は、データ参照の必要性が生じますので、プライバシーという面であまり現実的ではないかもしれません。
投資をAIが行うというNumeraiでは、AIを鍛えるために匿名サイエンティストたちが開発をするそうですが、その際かれらは顧客のデータを直接見ることなく開発に参加できるそうです。
このようなデータ暗号化しながらデータにさわれる技術をどのようにかして応用すれば、PoS的合意形成で真実性が高い社会も確立できたりするかもしれませんね。

 

しかしながら、こう考えてくると、嘘・悪意というのはやっかいなものですね。

ビットコインシステムが、いかに衝撃的なまでの技術、思考構造体であるかと考えさせられます。

1982年のランポートという理論家の人によると、嘘つきがa人いる中合意形成をおこなおうとした場合、正しいプレイヤーは2a+1人、全体の参加者は3a+1人が必要だそうです。
嘘つきが2人いる状況なら、少なくても誠実な人が5人いて、全体で7人なら合意形成ができるということのようです。

 

ビットコインについては分かっているようで、本当に理解はしていなかったし、まだしていない気がしています。

 

奥が深いですね。

 


 

  

 


 

参考URL

『NEMアポスティーユのホワイトペーパー日本語訳』、クリプトストリーム、http://www.cryptostream.jp/nem-apostille-whitepaper-japanese-3171/
『小さな1歩スティーユ』、逆襲のタヌ神、http://godtanu.hateblo.jp/entry/2017/02/08/041416#fn-ff68ad87
『物(物質、物体)が存在することの証明』、huukyou’s diaryhttp://huukyou.hatenablog.com/entry/2016/07/30/070611
『デカルトの方法的懐疑は失敗してると思う』、http://jougetu.hatenablog.com/entry/2016/05/03/164301

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リム(Rhime)

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