イーサリアム(Ethereum) : 注目の次世代ブロックチェーンプラットフォームのこれまでとこれから

次世代ブロックチェーンプラットフォーム「イーサリアム(Ethereum/ETH) 」のこれまでとこれから。

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2017年3月ごろには2800円程度だったイーサリアム(Ethereum/ETH)は一時40,000円近くと10倍以上の値をつけ、そのマーケットキャップは仮想通貨で最も有名なビットコインを追い抜こうと迫りさえしました。
イーサリアムは仮想通貨市場全体の盛り上がりを牽引する仮想通貨だというのは過言ではありません。

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イーサリアムの基礎知識

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まずはじめにイーサリアムについておさらいをしておきましょう。

イーサリアムとは簡単に言うと、スマートコントラクトという機能をビットコインの基盤技術ブロックチェーンと組み合わせ、その革新性の高いブロックチェーンテクノロジーをさらに機能的に、あらゆる範囲で使えるようにした次世代のブロックチェーンプロダクトだと言えることができるでしょう。(スマートコントラクトについてこちらの記事で概要を説明しています。→「スマートコントラクト 三大革命に継ぐイノベーション」)

 

ビットコインはその基盤技術としてのブロックチェーンによる改ざん不可能性および信用不要(トラストレス)な点が高く評価され世界中に使われるようになりましたが、イーサリアムはそれに加えてあらたに”プログラム上で記述できる契約の機能”→スマートコントラクトを加えたものです。

”プログラム上で記述できる契約”スマートコントラクト”が能力を発揮できるシーンは、金融をはじめ、保険や証券会社、IoTなどさまざまであり、スマートコントラクトによってブロックチェーン市場は67兆円規模にまで広がるという算出1もあります。

 

イーサリアムは仮想通貨ではないのかというと、イーサリアムネットワーク上にEtherといういわば通貨が発行されておりこれはスマートコントラクトを使用する際の燃料として使われるのですが、イーサリアム自体はというと”社会にスマートコントラクトを広めるためのプロジェクト名”というふうに捉えておいたほうが正確です。


 

イーサリアムのブロックチェーンステート
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図:あかねさん@XEM0807​の作成した資料を元に作成しました。https://goo.gl/UkAEVM

イーサリアムとは前述の通りスマートコントラクトを機能として追加したブロックチェーンプロダクトです。
ではイーサリアムの目的はというと、そうしたブロックチェーンの新しい技術を世界中の企業が利用できるようにするための分散型アプリケーション(Dapp)プラットフォームになることです。

ブロックチェーン・スマートコントラクトを利用した新しいアイデアを形にする縁の下の力持ち。その構造をイーサリアムはすでに達成しつつあります。
Ethereum Foundationのメンバーでありソフトウェア開発者でもあるHudson Jamesoは、イーサリアムが本質的にまだ2歳程度であるという点に留意してほしいといっていっていますが、近年のICOの賑わいを見ても分かる通り、イーサリアム内のコミュニティは活性を増し一つのブロックチェーンステートのようになっています。

イーサリアムは現状ハイパワーな万能プロダクトですが、iPhoneやAndroidでも軽快に動くように必要な分だけブロックチェーンのデータをイーサリアムブロックチェーンからダウンロードして使えるようなライトクライアントをリリースすることも予定されており、今後はさらなる発展が起きることは間違いありません。

(ブロックチェーンプラットフォームはイーサリアムの他にもCounterParty、Waves、Ubiq、æternityなどがありますが、イーサリアムは位置づけとしてはこれらの上層にあたるといっていいかと思います。
ビットコインの説明で一般人には扱いが難しい「むき出しのエンジン」という説明がありますが、万能性に優れたイーサリアムもDappsの構築環境を提供するサービスにおいては専属メカニックが必要なハイパワーなエンジンのようなものです。)

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イーサリアムのロードマップ

 

イーサリアムの今後について、最近のブロックチェーンに焦点を当てた会議では、Hudson Jameson氏が、イーサリアムのロードマップとブロックチェーンエコシステムの将来について説明しました。

イーサリアムは段階として以下のような手順を踏んでアップグレードしていくとしています。

一部@Bungaku_Crypto さんから情報を提供していただきました。

 

  1. フロンティア(Frontier)開拓 2015,7
  2. ホームステッド(Homestead)家  2016,3
  3. メトロポリス(Metropolis)街 2017,夏~11月付近
  4. セレニティ(Serenity)静けさ  2017~2018前後

 

フロンティアは2015年7月にリリースされ、これは名前の通りイーサリアムの初期段階であり、イーサリアムの利用を考える許可された開発者たちが、構造を学んだり実験したり、Etherのマイニングをしたり。Dappsとツールの構築を開始したりした時期です。

 

ホームステッドは2016年3月にリリースされ、これは安定バージョンとして発表されたものであり、多くの企業が参入しやすい状況になりました。このアップグレードには、プロトコルの改訂やネットワークの変更が含まれており、ネットワークのアップグレードやトランザクションの高速化が可能となりました。

 

また2017年夏~11月付近にはメトロポリスへの移行があります。
これはスマートコントラクト開発者に、より柔軟性を提供することを目的としています。
Jamesonによると、スマートコントラクトは最終的にFeeを自動的に支払うことができ、ユーザーがスマートコントラクトを外部で調達する必要はありません。
これはトランザクションなどのガス料金を送信者だけではなく、受信者や中間業者など、任意のアカウントが払うことをサポートする、また複数人が支払うことも可能になるということです。
また、コマンドラインからグラフィカルインターフェイスに移行します。

 

その後セレニティへとアップグレードが予定されています。
セレニティでの大きなゴールは、合意形成の方法として、PoWからPoSへ移行することです。
Casper”とは、Serenity フェーズにおいて採用される予定のイーサリアムにおけるPoSアルゴリズムの名称です。

この合意形成の変更については、現在のイーサリアムの発展における重要なファクターです。
イーサリアムの取引証明においては現状、ビットコインと同じPoW(プルーフオブワーク)が採用されています。
取引証明において、その絶対的な信頼性・有効性は現在のところPoWが優位だとする意見もありますが、PoWには電力消費の非生産性、51%攻撃などのセキュリティ上憂慮すべき点がいくつかあります。

 

*追記

​​Ethereumは当時予定していたセレニティでのCasper実装を、メトロポリスの段階で試験することを示唆しました。
https://www.ethnews.com/ethereum-stepping-stones-constantinople-and-casper

 

 


新たな合意形成方法論の構築に向けて。

 

イーサリアムのマイニング

 

キプロスよりも多くの電力が消費されるイーサリアムマイニング

PoWは強固な取引証明で長年ビットコインシステムを支えてきましたが、ここにきて仮想通貨プレイヤーの増加(ただし株取引・FXなどに比べるとまだ遥かに低いマーケットです)にともなってその需要も比例して増加し、マイニングはほとんど工場のような施設で発掘されるようになりました。
これは同じ取引証明方法を採択しているイーサリアムも免れません。

2017年6月末時点で1ETHをマイニングするために消費されている電力は45kWh。
これは、一般的な家庭で消費される電力の1.5日分に相当する電力となっています。

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イーサリアムマイニンググラフ

 

https://www.ethnews.com/ethereums-road-map-for-2017
上記は一年あたりの消費電力のグラフですが、ネパール、カンボジア、キプロスなどとならんで左から4番目のイーサリアムに対するマイニング消費電力が約4Twhとほぼ同列なことがわかります。
(ビットコインはというと、最近の研究では2020年までにデンマークほどの電力を消費する可能性があると専門家は主張しています。)

開発者はこの問題をかなり心配しています。
イーサリアムのコミュニティは、より環境に優しく、より安価な分散形式のコンセンサスのために、ステーク(賭け)による証明法”PoS”を利用したいと考えています。

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PoWとPos

 

https://blockgeeks.com/guides/proof-of-work-vs-proof-of-stake/

一般的なPoSの仕組み

PoS(プルーフオブステーク)とは、プルーフオブワーク(PoW)の代替システムにあたるものであり、コインを持っている割合(Stake)で、ブロックの承認の割合を決めることを基本としている、と説明されることが多いです。
Proof of Stakeコインでの採掘は鋳造と言われており、仕事量ではなく保有しているコインの量に応じて鋳造がしやすくなるシステムを採用しています。

しかし、すべてのものにおいて完全なものがないようにPoSの構造においても欠点は存在します。(これは一般的PoSの欠点であり後述のCasperにおける問題とは一概に言えません。)

 

・Posの問題

コインの溜め込み

  • コインが多い方が有利なので、コインを持ち続ける傾向になる
  • 対策: Proof of Stake Velocity 古いコインの持ち分評価を下げる。例: Reddcoin

 

低コスト51%攻撃

  • コインの51%を買える資金の証明をしつつ、買うと公表
  • コインの価格が下る、と期待される
  • そこで、コインを大量に買う

参考:Proof of Stake とは何か?

 

こうした問題がすでに指摘されていることから、イーサリアムはPoSへの移行は慎重です。
しかしPoWのマイニングによる取引証明はもはやビットコイン保有者にとって遠い出来事のようになってしまっていますが、これらは安心・安全のためのシステムの維持費という根本的な目的があり、そして現在この維持費はあまりに高額です。
裏を返せば、システムの安全性に膨大な資金が投入されていることになります。

​​

 


「キャスパー」:イーサリアムにPoSの実現をもたらすニューアルゴリズム

 

Casper

 

フレンドリーなゴースト:キャスパー

この既存システム(ビットコインに代表されるPoW)を代替するには、イーサリアムでのPoSはできうる限りの低コストを実現し、かつPoWと同等またはそれ以上の安全性・信頼性を構築しなければなりません。

イーサリアムにおいてはCasperキャスパー)がPoSにあたります。
キャスパーという名前は、Greedy Heaviest Observed Subtreeというプロトコル(規定)の頭文字をとるとGHOSTに似ていることから命名されたようです

 

これはニューコンセンサス(合意形成)アルゴリズムであり、ニューフェーズのPoSだと認識しています。

研究者と開発者は、このPoS実装のために2年以上の歳月をかけています。

キャスパーのアルゴリズムは、ステークつまり賭けることによってネットワークの維持をおこなうものです。
PoSは保有量によって維持するという説明があるというのは前述しました。ただ、この説明は保有量が重要であるということは間違ってはいないと思うのですが、賭けるというそのネットワーク維持の行動内容という中心が抜けてしまった状態で説明がなされているのでやや適切ではないことに調べている過程で思いました。

PoS(プルーフオブステーク)とは、ステークすること(Stake(賭けること)による合意形成方法論です。

 

キャスパーによるPoSでは(既存のPoSでも重複する構造もあるかもしれませんが)、保有とそれに比例した議決権の取得・賭けにより、コンセンサスを得るシステムであることがETH Newsの記事で述べられています。価値がブロックチェーンによって証明されている資産を”賭ける”ことで、そのシステム参加者を正しい行動をするように促します。

これは現在のビットコインの電力における取引証明という非効率性だけでなく、システムの攻撃を高価にすることによってセキュリティを高めることにもつながる方法論であり、キャスパーの主要な恩恵であるといいます。

つまり悪意のある参加者は高価なコストをかけねばならず、ネットワーク破壊のインセンティブは起きにくいのです。

 

バリデーター

もしキャスパーが実装されれば、バリデータープールというものが存在することになります。
ユーザーは鍛造者(Forger:フォージャー)として自由にバリデータプールを選択し鍛造に参加することができるようになるとしています。
バリデーターは、ようするにシステム維持の貢献するノードにあたります。

バリデーターは、他のバリデーターのトランザクション情報を可能な限りあつめることを目標とします。
そしてバリデーターは可能な限りその情報を最新であるように努めます。
それらトランザクションをブロックにまとめ、バリデーターは暗号署名をほどこしネットワークに通知をします。
各バリデーターは、ネットワークに送信されてきたすべてのブロックから、どれが正準なチェーンにつながれるかに賭けることができます。

悪意のある方向へ賭けたバリデーターは、掛け金が没収されます。

イーサリアム開発者のVitalik Buterin氏は、各バリデータの報酬は「約2〜15%程度」となるといっていますが、彼はまだ議論の必要性があるとしています。
こうした参加については優先順位はつけず自由な参加を予定しているとしていますが、バリデータやフォージャーの数が増加してきた場合、金利を下げたり報酬の引き下げを行うなどの対策を検討しているようです。

 

このように、新たな合意形成のアルゴリズムは開発中ではあるものの、着実に方法論の構築の方向性は定まってきているのが分かることでしょう。

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動画:イーサリアムの生みの親自身が語るイーサリアムについて

 

最後に:Vitalik Buterin氏の言葉

 

PoSに移行することになるCasperの計画に反対した人たちはもちろん存在しました。
そうした人たちのほとんどはイーサリアム・クラシックに移りました。
しかしこれに関して、Vitalik Buterin氏は

 

「私たちが進めてきた(移行についての)結果は、私たちが得ると思っていたものよりもはるかに優れたものになるだろうと私は考えている」

 

Bitcoin Magazineのインタビューで話しています。

 


 

参考資料

Ethereum’s Road Map For 2017:https://www.ethnews.com/ethereums-road-map-for-2017
Ethereum(イーサリアム)ガイド:http://udon-cryptocurrency.hatenablog.com/entry/2017/06/17/180040
Proof of Stake とは何か?:http://qiita.com/hshimo/items/625d548c61b9cab8d8d0
Ethereum Proof-Of-Stake: Vitalik Buterin Shares Casper Contract Code:https://steemit.com/ethereum/@keysikg/ethereum-proof-of-stake-vitalik-buterin-shares-casper-contract-code
Proof of Work vs Proof of Stake: Basic Mining Guide:https://blockgeeks.com/guides/proof-of-work-vs-proof-of-stake/
Interview: Vitalik Buterin on Scaling Ethereum, Its Popularity in Asia and ICOs:https://bitcoinmagazine.com/articles/interview-vitalik-buterin-ethereum-scaling-issues-popularity-asia-and-icos/
Ethereum Is Already Using a Small Country’s Worth of Electricity:https://motherboard.vice.com/en_us/article/d3zn9a/ethereum-mining-transaction-electricity-consumption-bitcoin
The Casper Proof-Of-Stake Algorithm: Prepare To Commit:https://www.ethnews.com/the-casper-proof-of-stake-algorithm-prepare-to-commit

注釈

  1. http://news.mynavi.jp/articles/2016/08/10/blockchain/

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