スマートコントラクトとはなにか:イーサリアムが起こすイノベーション

スマートコントラクトとはなにか:イーサリアムが起こすイノベーション

この記事は約 15 分で読めます。

人類史における3つの革命。
農業革命、産業革命、情報革命。

それに継ぐ革命。
スマートコントラクト

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ほんとかよ、という疑いもあるにはあるけど、聞いている分には、なんだかすごい感じ。
でもよく分からない。
スマートコントラクトってなんだ?

 


 

身近にいるスマートコントラクト

自販機

スマートコントラクトの提唱者でありアメリカの法学者・暗号学者のニック・サボ氏は、スマートコントラクトを利用したごく初期の段階の例として、自動販売機をあげている。

  1. わたしたちが自販機に小銭を入れる。
  2. 飲みたいジュースのボタンをポチッと押す。
  3. そうすると自販機からガチャんとジュースが落ちてくる。

いまや当たり前のようになった光景で自販機自体もわたしたちの身近に存在する機械になったが、スマートコントラクトを説明・理解するには分かりやすいモデルだ。

つまり自販機とは、堅苦しく言い換えれば、
「あらかじめ決められたルールに従って行動すると、任意の結果が第三者の介入なく自動的に得られる」
と言い換えることができる。

そして自販機やそれに類するようないま社会にあるものは、たとえていうならスマートコントラクトver0.1とか0.5とかだ。
つまり子どものようなものといえるだろう。

それに対していま世界で動き始めているスマートコントラクトは一体なんなのだろうか。

ver.1に進化して、完全体になったスマートコントラクトはどうなるんだろうか。

 


 

スマートコントラクトとイーサリアム

 

スマートコントラクトとイーサリアムとブロックチェーン

まず今社会に進出しようとしているスマートコントラクトは、ブロックチェーンと手を組んでいる。
ビットコインのブロックチェーン技術と、従来からあったスマートコントラクトという概念を合わせたのが、19歳の青年ヴィタリック・ブテリンの開発したイーサリアムだ。

ブロックチェーン上で動くスマートコントラクトには、″ある契約をプログラムで定義し、その定義された条件に合致した際には、デジタル上の仮想通貨を用い、強制力をもって報酬を自動配布できる”という特徴がある。
契約が履行されたかは、自販機のようにフタを開けて缶のラベルをわざわざ見る必要もない。
プログラムが反応してくれる。

 

スマートコントラクトを使った未来の事例

ではスマートコントラクトを使って実際社会においてどのような活用ができるのだろうか。
実際に例を出してみてみよう。

 

カーシェアリング

たとえばスマートコントラクトを利用したカーシェアリングなんていうのはどうだろう。
車を貸すほうは、エンジンの始動条件にスマートコントラクトを組み込める。(そういうキットみたいなのが、プログラムはイーサリアムで、物理的なデバイスは各関連企業で開発中だったりする。)
車を借りるほうはというと、そのよその誰かがレンタルに出してくれた車に乗るにはもちろん代金を払わなければならない。

従来だったら借り主はネットサービスを利用してあらかじめ支払いを行ったりしなくちゃならないし、レンタルに出す方は対面で物理的に渡さなくちゃならない。
もちろん鍵をピタゴラ装置のような重厚な装置でそのへんにくくりつけておくことも出来るけど、すごくめんどくさい。
それにいくら物理的に鍵をくくりつけたところで、結局はシェアリング、つまり友人間のシェアでなく、かれら友人らに比べると信頼性スコアが低い不特定の人が対象になってくるという点で、今のところどうしてもレンタルとその報酬を確実に受け取るためには、第三者機関、つまり安全なウェブサービスが必要になってくる。

一方ブロックチェーンと点を組んだスマートコントラクトを利用すれば、端的にいえばそうした第三者的ウェブサービスはもうさっぱりなくなってしまって構わなくなる。
イーサリアムのヴィタリック・ブテリンは、ブロックチェーンについてこう語っている。

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「たいていの技術は末端のしごとを自動化しようとしますが、ブロックチェーンは中央の仕事を自動化します。タクシー運転手の仕事を奪うのではなく、UBERをなくして運転手が直接仕事をとれるようにするんです。」

 

スマートコントラクトを組み込んだロック機構を搭載した車であれば、第三者に頼らずシェアリングが可能になる。
そしてスマートコントラクトによって規定されたルールに従って、車を借りたほうは代金を支払わない限りエンジンは始動できない。
そして仮に借りたまま返さない場合には、貸した方はエンジンロックを遠隔で行える。
ブロックチェーンの改ざん不可能性で所有者偽装も難しいから、その車はおそらく売ろうとしても売れなくなる。
うんともすんとも言わない車を買い取ってくれるお店はあんまりいない。
というかブロックチェーン技術が広く浸透した社会では、車の販売を仲介する業者すらもぐんと減っているに違いない。
なぜなら、ブロックチェーンを利用すれば第三者への信頼に頼らなくても済むようになるから、個人間での取引が主流になるからだ。
そんなめんどうなことになるなら、さっさとレンタル料を払ったほうがお互いのためだ。

株式の売買

あるいは、株式の売買をみてみよう。
現在のところ、ふつうに株を買った場合、ちゃんとお金を支払ったのにもかかわらず引き渡しには数日かかることになっている。
しかし、スマートコントラクトが取引所に導入されれば人の目でちまちまと確認する必要がなくなり、かつブロックチェーンによって二重取引などのセキュリティリスクを潜在的に回避しながら迅速に取引を完了することができる。
株を買ったら即座に決済が完了して株が自分のものになる。

 

こんなふうに、スマートコントラクトは、社会にとって非常におもしろい変化を生み出してくれる。
ただし、このような事例は、スマートコントラクトが影響を与えるほんの些細な出来事の一部にすぎない。

 


 

スマートコントラクト 三大革命に継ぐイノベーション

IoTとスマートコントラクト

 

Iot←→ブロックチェーン←→スマートコントラクトの関係

スマートコントラクトの潜在的な社会への影響力はとてつもなく大きい。

とはいっても、前述のようなスマートコントラクトカーシェアリングなどを行おうとしても、まだまだわれわれの乗る車をみる限り(カーナビとかは除いて)インターネットにつながってる様子はあまりない。

前述のカーシェアリングの場合は、車はIoTデバイス化されている必要がある。

IoTとは、すでに知っている方も多いかもしれないが、パソコンに留まらず車やテレビ、街灯や時計などあらゆるデバイスがインターネットによって相互につながり、遠隔での操作や観測、報告などの作業ができるようになる、情報革命のより高次元なフェーズのことをいう。

IoTの波は確実に社会に進出しようとしている。
そんな今話題の”IoT”は、ブロックチェーンととてもよい技術パートナーだ。
そして、ブロックチェーンとスマートコントラクトが親和性の高い関係であるのは、今見てきたとおりだ。

つまり、スマートコントラクトとブロックチェーン、IoTはともに技術的に親和性が高いことを示している。

 

IBMのADEPTは洗濯機を面白くする。

2015年に、IBMは「ADEPT(Autonomous Decentralized Peer to Peer Telemetry)」という概念を発表した。
Decentralizedとは、つまり非中央集権的という意味だ。
これはブロックチェーンを使ったスマートコントラクトの仕組みをIoTに応用することで、分散的で信頼性の高い自律的なデバイス群を実現する計画だ。

ここで、ブロックチェーンの特性を思い出してみよう。
ブロックチェーンは、分散自律的な取引台帳で、改ざんは難しく、インターネット上においてこれまでにないセキュアな取引を行うことができる。

このブロックチェーンを、デバイス間が相互通信している社会(IoT社会)において利用するとどうなるか。

IBMでは、洗濯機をテストのデバイスとして設定している。
ブロックチェーンIoTによって可能になることは以下のようなものがある。

1.故障時の修理対応の自律化
(洗濯機はIoTデバイスであると仮定し、ブロックチェーンとスマートコントラクトのプラットフォームに接続しているとする。)
ここでは、IoTデバイスの部品が故障した場合、ブロックチェーン上のスマートコントラクトを実行し、保険契約の情報を確認後、部品メーカーに交換部品の発注、代金の支払い(ビットコインやそれに類するもの)、修理業者への修理依頼、洗濯機の持ち主であるあなたへの、故障や修理完了の報告など、これらすべてを人を介さずに自動的に行える。

洗濯機がピーピーいうのは変わりないが、そこでは、かれ(洗濯機)はすでに洗濯物に水を浴びせてゴンゴンと洗い回すだけの家電ではない。
デバイスが、自律的に、役目を全うすべく自己保全行動を行えるようになる。

もちろん洗濯機に腕が生えてくる技術ではないので、ナットの締め付けなんかはいまのところ人間の修理業者に頼む必要がある。
ただしこれは、われわれが空を飛べないかわりに、飛行機やパラグライダーの力を借りるのと同じで、それだけで機械を無碍にするのは品ないことだ。
人間とデバイスは、相互協力して、暮らしやすい生活を送れるようにできる。

 


 

自律体Xの時代

 

4ブロックに分けられる自律分散構造体

さらにスマートコントラクトの世界を広げてみよう。

ここではさらに、ブロックチェーンおよびスマートコントラクトを利用して進化した企業形態の4つのモデルを示す。

スマートコントラクトを利用した未来の企業モデル

 

自律分散型組織分布表、:参考『ブロックチェーン・レボリューション』,p138,(不改変時限定でシェアフリー)

 

スマートコントラクトは、人の手を介さず契約(Contract)を実行することができるということは前述した。
ただし定義としての知識として、念のためおさらいしておこう。

スマートコントラクトとは、取引の条件を自動で実行するような、取引の電子的なプロトコルである。
その全般的な目的は、一般的な契約条件(支払い期日、抵当権、機密保持、確実な執行)を満たすこと、故意あるいは事故による例外を最小限に留めること、そして仲介者への依存を最小化することである。
これに関連する経済的なゴールには、詐欺行為による損失を防ぎ、仲介コストや法的コストなどの取引コストを削減することなどが含まれている。
ドン・タプスコット、アレックス・タプスコット,『ブロックチェーン・レボリューション』(ダイアモンド社,2016),p137

加えてここでは、Daapsという概念を導入したい。
といってもなんのことはない、Daapsとは、スマートコントラクトの機能をもたせて開発されたアプリケーション(応用・実用化体)のことだ。

 

ここで上図の自律分散型組織分布表を見てほしい。

  1. スマートコントラクト
  2. オープンネットワーク型企業(ONE)
  3. 自律エージェント
  4. 自律分散型企業(DAE)

とある。

これは、スマートコントラクトのようなセキュアな自動的処理の機能が使えるようになったと仮定し、その機能を活用して創出される構造体の予想図として考えられるものだ。
これらの順に、その構造体に投入される人的労働は減少する。
つまり、わたしたちがぐうぐう寝ていても、下にいくほど、わきわきと勝手に働いてくれるようになる。

 

ブロックごとの進化とその内容

1のスマートコントラクトはこれまでみてきたように、スマートコントラクトそのものであり、ブロックチェーン・スマートコントラクトの基盤を為すものだ。
道端にコンピュータが転がっていてもうんともすんとも言わないように、スマートコントラクト自体は人の手でなんらかの形にしてやらないと動き出さない。赤ん坊のようなものだ。

 

2のオープンネットワーク型企業(ONE)は、既存の企業にスマートコントラクトが導入され、生産効率が飛躍的に向上した状態と考えれば良い。
この時点ではスマートコントラクトは単独の契約ではなく、多様で複雑な契約のネットワークを築いている。

企業はそれぞれに前述したDaapsを自社開発するなりBtoBプロダクトを導入したりして、人の手を介さない事務的な作業を自動処理させている。
リアルタイムな在庫管理で、商品の受注を自動的におこない、不足している部品があれば世界中のサプライヤーから値段や納期を比較し、記述されたコントラクトに従って発注・支払いまでが完了できるような状態だ。
例えれば、(現実社会ではあんまりよくないけど)忙しい個人経営のお店が自分の子どもか近所のこどもに手伝ってもらったりしているぐらいの感じだ。

 

ONEの状態では、企業の内側と外側の区別はあいまいになり、どこの誰ともシームレスな取引が実現しているだろう。
企業間の壁は風通しがよく、柔軟性に富んだものになっているはずだ。
業者との関係もDaaps共通の評価システムなどが組み込まれることによって、悪いことを行っている会社や質の悪いものを納品するような業者は、井戸端会議でのおばちゃんたちのネットワークみたいにひっそりと確実に業界に伝わって、誠実に仕事をしている人々が報われるようになる。

こうしたオープンな構造は、すでにOSS(オープンソースソフトウェア)におけるリナックスをはじめとして世界中で便利で構造の鮮度が高い便利なツールを生み出してきた成功例を見る限り、社会にとって有益なモデルとなるだろう。
もちろんビットコインはOSSだし、その他多くの仮想仮想もオープンなコミュニティで開発されているのは周知の通りだ。

スマートコントラクトが企業に導入されることによって、各企業は開けた空間の中で生産効率を大幅に向上させ、より少ない労力で大きな価値を生み出すことを可能にするはずだ。

 

3の自律エージェントは、「インテリジェント」なソフトウェアと呼ばれることもある構造体だ。
実際に知性を持つわけではないが、独立しての行動が可能であり、自律エージェントの初期的なモデルとしてはコンピュータ・ウィルスを思い浮かべてもらえばそれが該当する。
初期段階は、ウィルスのように限られた目的に向かって単一の機能をこなすエージェントであり、いうなれば狩猟採集民族のような感じで、せわしない。
それが少し進化すると、いくつかの決まった供給者からリソースを借りてくるなどの汎用性の高い仕事が可能になる。協力的になって農耕民族への移行という感じだ。
さらに進化すると、自助努力で、自己が独立たりえている対象の仕事、つまり任されている仕事にたいして、それがよりよいものとなりえるような提案をし改善していくことができるスマートな自律体になるとされている。比喩の上で概念的に把握するならば、人間になるのだ。

 

4の自律分散型企業(DAE)になるとすこしSFチックになって、各々の自律エージェントは、各所属体で設定された共通認識とルールのもとで、互いに協力しながら仕事をする共同体を形成するようになる。彼らは力をあわせてサービスをつくりあげ、人間や組織相手にビジネスを実行する。
人間の役目は彼らに計算能力と資金を与え、仕事ができるように送り出すことだ。あとはエージェントが勝手に人やロボットを雇い、必要に応じて生産設備や専門知識を持つパートナーと手を組みながら、自己判断で仕事を進めてくれる。
記号で構築された複合自律体。人工知能に類する存在で推進される企業だ。
とはいえここでは人間でもこのスマートコントラクト企業で働くこともできるだろう。

給料は月給制などではなく、スマートコントラクトによって決められた仕事を完了した瞬間に受け取ることが可能だ。
従業員が人であろうと記号であろうと、企業的には関係ないので(人権的な話ではなく仕事としての話だ)、

「気がついたら自分に指示を出していたのがソフトウェアだった、ということもあるかもしれない。」

と『ブロックチェーン・レボリューション』の著者は書いているし、

それを聞いてわたしたちが思う、なんだかそれってどうなの、という気持ちに対しても

「でもソフトウェアの上司は無茶ぶりをしないし、礼儀正しく接してくれるはずだ。スマートコントラクトのなかにマネジメント科学を組み込み、仕事の割り当てと評価を誰もが納得できる形で実行できれば、人々は今よりずっと楽しく働けるようになるだろう。

と予想している。

 


 

終わりに

 

このようなスマートコントラクトの社会における影響の具合をみてきてどのような感慨を受けるだろうか。
SFだろうか。

しかし、人工知能の探求が1980年代に勃興し、挫折。2000年代に再熱するもうまく会話できている風にとどまっていた、それが最近になって機械学習・ディープラーニングが育ち始めてきた。
機械学習で鍛え上げられた将棋ソフト:ポナンザや、Googleの囲碁ソフト:alphaGOは圧倒的な強さで人間を打ち負かすまでになった。
ディープラーニングによって、かんたんそうでものすごく難しいといわれてきた機械翻訳の精度が抜群に上がってきたのは、実感としてあるはずだ。

しかし、それらは例えるならば、神童的な子どもに似る。
入力されたデータに対し、天性のちからで能力を顕示する単一的な存在だ。

しかしスマートコントラクトの構造体は、自律的な行動が可能であり、自己の周辺あるいはもっと外側の自己近似的構造体と連携し、コミュニケーションののち、契約・支払いまでできる。
ブロックチェーンがベースとして組み込まれているから、自己管理能力も強固だ。
企業体に属しても、自らの属する企業のなかで利益を生むエージェントと成り得、ソフトウェア・ハードウェア群は、いままで以上にわたしたちにとって頼れるパートナーになるだろう。

 

今まで子どもだったコンピュータたちは、ブロックチェーンと手を組んだスマートコントラクトで成人式を迎えるのだ。

 


スマートコントラクトは、あらゆる可能性を秘めている。


 

参考資料、補足

ここでの例はほんの一部に過ぎない。
スマートコントラクトの詳細や、社会変革の例を知りたい方は、以下を参照されたい。

 


 

資料リンク

・ドキュメント
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リム(Rhime)

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