『10年後の仕事図鑑』から見える、仮想通貨とVtuberの遊び(ルーデンス)の世界

 

ここ数年、ずっと頭にあるワードがあります。
それが”ルーデンス”というワードです。

これは端的に言うと”遊び”という意味の用語で、オランダの歴史家、ヨハン・ホイジンガの著書『Homo Ludens』に使われていることで有名です。(というよりもこの著書が元かもしれません。

 

現代の人文・思想書には、”遊び”という言葉がよく登場するようになりました。
この文脈上の遊びというのは、なにか高尚な哲学的解釈を含むワードなのではないかという疑念も抱くかもしれませんが、私がこれまで得た知見でいえば、この場合の遊びは特にそうした難解ななにかではなく、ごく普通の子供が持ち合わせているような「純粋な楽しさとしての遊び」です。

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では、なぜこの遊ぶという行動が奨励されるようになったのでしょうか?
これには近年のITのオープンスタンスでの凄まじい更新・自動化・AIの台頭などによる、過去に築き上げられた”常識”が通用しない、現代のありように、いかにして対応していくか、という差し迫った状況において発生したものだと思います。

堀江貴文氏と落合陽一氏の対談を元に書籍化された本書『10年後の仕事図鑑』では、仮想通貨は1章程度で軽く触れられていますが、現代の貨幣制度が揺らぎ、銀行が不要になり、信用の保証もブロックチェーンが担うような世界が到来することは、それまでの重厚で煩雑な”お金”に関する手続きが人類史上最も身軽になるということであり、そのことは現在多くの人が常識的に思っている収入源としての労働という部分に少なからぬ衝撃を与えるだろうと思います。
それはなぜか?というと、現在の”社会的に認められて自慢できるような”すべての労働がお金と結びつき、そのお金が、今刻々と変化しているからです。

 

 

 

仮想通貨という破壊神

 

私(Rhime)が総合的なデザインを担当したNEMウォレット「RaccoonWallet 」

例えば私は、NEMという仮想通貨について少なくとも人並みか人並み以上には関わっています。(たぶん。
そしてこの一種の仮想通貨という小さい枠組みで発生し躍動する、現代人文・思想上の価値ある”遊び”と呼べるような活動を目の当たりにしてきました。(NEMに詳しい人はわかると思いますが、それは例えばNEM CREATORS FESTIVAL、nemcafe)

ビットコインとはいかなるものか、ブロックチェーンとはいかなるものか、というのを研究し、更に進んで例えば上記のような活動を体験したとき、ブロックチェーンに関与する者には恐らく次のような普遍的な問いが現れると思います。

つまりそれは、

 

お金とはなんなのかという問いが、ここ数年の間で今世界各地で繰り広げられてきたことだと思います。
それはもちろんブロックチェーン、および仮想通貨の登場という衝撃によってもたらされたものです。
そのような議論をするにいたった彼らはまず一度は、以下のようなことを思うのではないでしょうか。つまり、

  • お金とはなんなのだろうか。
  • 将来的に資産の保管場所としてビットコインなどの仮想通貨に変わっていくのだろうか。
  • だとしたら今ある現金(フィアット(不換紙幣))は死ぬのだろうか。

RhizomeBrain「お金とは何か?」:構造主義で論じる現代貨幣論 序説(9660文字)

 

といったものです。
これは、度々浮かび、そのつど答えが更新されていく今まさに進化している、現代において非常に重要な流動的問いの一つです。

仮想通貨はいかなるものか、というのを一言で説明するのは難しいですが、私的には、端的にこれまでのお金が”より軽快になった”ものです。
耐改ざん性なども説明されますが、それも多大な労力をつぎ込めば一応は実現できるものです。
しかし、それらはブロックチェーンによって、より軽快になり、人々の懐にまで近づけるようなフレンドリーさを有するようになりました。

そして、ある種、信仰的であった貨幣・お金という概念は解体され、マテリアルへと近づくことに繋がりました。
それは

 

『デジタルゴールド」、あるいはその他の優れたビットコイン・仮想通貨・ブロックチェーンの著作において最も優れた効用のひとつ。
それは現在の貨幣に対する視点に、

  • 「偉人の顔の印刷された紙」や、
  • 「銅やアルミニウムなどの金属片」

という象徴性を取り除いた物質的な見地を提供するという点です。

RhizomeBrain:すべての人が、仮想通貨の歴史を記す名著『デジタル・ゴールド』を読みビットコインを知るべき理由

 

とも説明できます。
仮想通貨に慣れ親しんでいる者は、すでに紙や金属のお金は、重苦しい非効率な旧時代の遺産ぐらいにしか思っていません。

そうなると、お金というものが急速に抽象的になってきます。(元々幻覚的なものですけれど。
そして信仰としての存在は”お金”から剥がれ、単純な

 

という性質を持つ道具になってきます。

ゆえに、人間の根本的目的にまでさかのぼって考えるとき、お金を所有することが最終的目的ではない、という気づきが生まれます。

そこに「貨幣中心の経済から、信用中心の経済へシフトして1いき、社会の変化に取り残されることがないように2という態度が生まれるのだろうと思います。

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位置: 1,176
そうした状況の中で魅力的な投資先が見つかると、そこにお金が一点集中する。大きな水風船が破裂寸前になっているところに、テクノロジーが小さな穴を開け、中に入っていた水が一気に溢れ出すようなものだ。すると、小さな穴を開けたある個人が一気にお金を手にするわけだ。  すると今度は、お金を得た個人がカネ余りに直面する。特に使いどころもないから、投資をするが、投資をした結果また儲かってしまう。すると「お金には意味がない」ことに気づく。水風船の割り方を覚えると、いつでもお金が得られるようになるから、もう実質お金なんてなくてもいいと知るわけだ。

 

 

そして信用という時代における価値は、いかにして創出するべきか?という問題。

はじめにも書いたように、私は「ルーデンス」ということをここ数年ずっと考えてきました。
そしていろいろな縁があり、仮想通貨NEMのモバイルウォレットをデザインすることになりました。
そこで取り入れたのは、ルーデンスでした。
コモディティという属性を排除し、遊び(ルーデンス)というデザインを取り入れたRaccoonWalletは、合計で5つの賞を獲得し、賞金総額は100万弱にまで及ぶに至りました。

Appleのデザインのビジョンは「Think different」ですが、本書で落合陽一氏のいう「ブルーオーシャン」も同じことだと思います。
何が違うのか?、そして作り出す対象に”いかなる気にかけるべき部分があるのか?”という点、そしてそれらを定義すること。
それは今後の働きの中でのクリエイティビティの根幹を成すビジョンだと思っています。

 

 

顔の無い人々

 

rabedirkwennigsen / Pixabay

 

位置: 478
会社と労働契約を交わすということは、ほとんどの場合「私がこの会社内で制作したあらゆるプロダクトの権利は、すべて会社に帰属します」と宣言していることに他ならない。つまり〝自分の名前を失う〟ということだ。どれほど自分が優れたプロダクトを生み出そうが、個人としての功績が積み上がっていくことはない。これは ポートフォリオマネジメントとして時間の消失に他ならない。

 

位置: 653
実は、多くの企業は不況時に無理矢理仕事をつくって雇用を維持した結果、赤字になっている。つまり、社員たちに給料を払うために社会全体で無駄な仕事をつくっているのだ。その中で、皆が労働信仰に支配されてイヤイヤ働いている。

 

だからこそ、信用と信頼の時代にはあまり適当ではない”常識的”行動様式に警鈴が鳴らされているのだと思います。
落合陽一氏は、「自分の子供を幼稚園に入れたくない」と本書で語っていますが、これは”自分の名前を失うこと”、

 

そこで子どもたちは、「同じ顔をした定型的主体を作り出して流れ――その流れの中で、主体は自らのノッペラボウの顔に、「資本の流れの派生機能」として資本家と「労働の流れの派生機能」として労働者という仮面(ペルソナ)をつけることになる」
浅田彰『構造と力』(勁草書房、1983)p179

 

戦後、所得倍増計画の一環として「持ち家信仰」が唱えられはじめた。所得倍増計画とは、池田勇人内閣政権下で実施された長期経済計画だ。これは実は非常に単純な仕組みで成り立っている。住宅が1棟売れると、資材や設備が売れ、大工には給料が入り、そのお金は生活費として使われるなどして、お金がどんどん世の中を駆け巡る。この経済波及効果があるため、特に住宅は効率よくお金が回せると考えられていた。ローンを使って家を建てさせれば、金は余すことなく世の中を回る。するとGDPが拡大していくというロジックだ。だから、国も民間もこぞって家を建てるように奨励した。
堀江貴文、落合陽一『10年後の仕事図鑑』(SBクリエイティブ株式会社、2018)No.1190

 

というような、ダイナミクスの中に”溶ける”3ことになりかねません。
そうなる前に一度立ち止まって考えてみることが必要だということが、日本においても主張されはじめてきました。

 

 

100万分の1の遊び

krzysztof-m / Pixabay

位置: 758
収入を得るパスが1つではなくなり、個人を運用する時代になっていることは、少しばかりSNSを見ただけでも明白だ。

位置: 983
あとは、まったく違う2つの分野でそれぞれ「100分の1」を目指せばいい。そうすれば、合計3分野を掛け合わせて「100分の1×100分の1×100分の1」で、「100万分の1」の人材になれるというわけだ。  そうすれば、「ある経済圏の中で、その人しかできない状況」になっている。君と同じ価値を持っている人間はどこにもいない。

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僕だって、バイクに乗ればボルトくらい一瞬で追い抜ける。ただ、同じ条件で勝とうとしたら、もう1回生まれ直す必要がある。つまり、この代替不可能性に人は熱狂し、価値を見いだしているのだ。

 

代替できない者、というのは難しい。
「信用」が価値になること、そしてその「信用」には知名度や能力、リサーチ力など様々な要素があります。
これらの価値を考える上で大切な考えかたとして、「交換可能性」というのがあるとしています。
他人に自らを提示するとき、自分の能力、作品が交換可能なのか、不可能なのかを区別し、その「価値」を見極める必要があるでしょう。

交換が”可能”とは、つまり自分の中にその価値を取り込める、ということです。
交換可能性のあるものは、「自分ができること=スキル」であり、好きなことを夢中でやり、自分を価値資本でいっぱいの”価値の缶詰”にすること=自分ブックを作ること。
この、自分ブックは、”名前の取られた”状態では、そもそも作成することができません。作ったものから、たちまち自分の名前が消え、組織の制作物になるからです。
この状態は、信用蓄積の可能性を摘んでしまっている状態ともいえるかもしれません。

 

Vtuberという存在

 

https://twitter.com/hitogui_hiyoko/status/998620054559178755

 

位置: 1,843
未来が不安な若者には、「仕事になる趣味を3つ持て」と伝えたい。堀江さんは「遊びのプロになれ」と言っていたが、「遊び」は簡単に聞こえるが、実は難しい。「趣味を仕事でやれ」と言われると、少し難しく聞こえてしまうかもしれない。 アートによる複雑性* 10 と僕はよく言うが、伝わりにくい。  それなら、考え方を少しシフトして、「仕事になる趣味」を探してみたらどうだろうか?

 

本書では言及されていませんが、Vtuberという存在は非常に、”遊び”と”IT”が融合した現代的存在の一つだと思います。

もっとも現在のVtuberは・・・あんまり詳しくないですけどほとんどがバックに企業がいる?気がするので、そのあたりはちょっと違うかなとも思っているのですが4、もう少し時間が立ち誰しもが個人レベルで運用が可能になるとVRアバターを使った活動というものが、遊び(ルーデンス)という行動による、社会においての適切な行動様式の一つになるのではないかと思っています。

つまりVRを用いた仮想空間と現実世界との交差した・行き来する行動、というものが当たり前になる社会になるのではないかと思います。

これは別に一億総Vtuberになるとかではないし、VR=アイドルという発想はあまりに短絡的です。
ただ単に交差した・行き来する行動としてのVRというものが十分考えられます。

そしてそのような行動様式が当たり前の社会になっている頃には”遊び”としての社会行動という常識が広く知られているのではないかと思っています。

 

 

自分はどうするか

 

位置: 1,992
モチベーションを価値に落とし込むのに重要なのは、「言語化する能力」「論理力」「思考体力」「世界 70 億人を相手にすること」「経済感覚」「世界は人間が回しているという意識」、そして「専門性」だ。専門性は、どんな小さなことでもいい。「自分にしかできないこと」は、他人から必要とされるのに十分な理由になる。ポジションを取り、他の誰でもない〝個〟の価値を叫ぶのだ。  最後に、IBMの初代社長トーマス・J・ワトソンの言葉を贈ろう。 「不確かな持論を持つ思想家の道を辿れ。自らの考えを論争の脅威にさらけ出せ。率直に意見を述べ、変わり者のレッテルよりも、従順という汚名を恐れよ。そして、自分にとって重要に見える問題のために、立ち上がり、どんな困難にも立ち向かえ」

 

こうつらつら書いても、そのまま「良い本だったなあ」で終わったら、あまり近づかないほうがいい意識高い系な自己啓発セミナーに入り浸るようなコモディティ人間になりかねません。

 

そこで目標を掲げてみようと思いました。5

 

遊びのための取り組み

 

1.大昔に挫折して放り投げた3DCGをちゃんと道具として使えるまでにしたい。

この前買ったFBX形式の美少女モデル。かわいいのに300円で安いと思って買ったら、レイヤーが全部結合されてて全然いじれないやつだった。チクショウ・・・。もうなんでもいいから、かわいい女の子を作りたい。(切実)

ずっと使いこなせるようになりたいと思っていながら、いままでIllustratorとかしか触っていなかった。
まず、挫折したことがめちゃくちゃ悔しい。
そして最近になってVtuberがイキイキしているのをはたから見ているだけなのが、ちょう悔しい。

なぜ挫折し、なぜ取り組めなかったかというと、3DCGの道具が混沌としているのもある。

グラフィックデザインでは、Illustratorを使えれば大抵のことはできる。
しかし3DCGは、業界・界隈スタンダードがイマイチ見えない・つかめない。
ただ無料のものを使うのは業界の採用率を見る限り避けたほうがよいという結論に達し(べつに業界に就職するつもりはないけど)、MayaあるいはMayaLTを習得することにした。

フォトリアルレンダリングでの新しい2Dグラフィック表現もできるようになれば、楽しいはずだ。

 

 

2.Afteeffectsを道具として使えるまでにしたい。

UI(ユーザーインターフェース)は面白い。
アフターエフェクトは、UIにインタラクションを付加し、より楽しいソフトウェアのデザインを作れるようになるはず。

 

3.フォトバッシュを習得したい。

 

 

最近知ったコンセプトアートのための最新技術。(というかデザインのための新しい試み
写真をPhotoshopで合成してイラストを完成させるもので、絵心がない自分でもコンセプトアートを描けるようになるかもしれない。

 

おわりに

 

久しぶりに長文記事書いた。

 

この記事書くの、めっちゃ楽しかった まる。

 

 

 

注釈

  1. 堀江貴文、落合陽一『10年後の仕事図鑑』(SBクリエイティブ株式会社、2018)kindle NO.27
  2. 同上、NO.27
  3. この”溶ける”本書の中でも良く登場します。
  4. ちなみに私は薬袋カルテが良いと思います。(迫真)
  5. (小並

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この記事を書いた人

リム(Rhime)

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|【プロフィール】: リム(Rhime)。RhizomeBrain(リゾームブレイン)管理人。Twitter:https://twitter.com/RhizomeBrain
2017年3月から仮想通貨への投資を開始。株式投資は2年ほど。
読書が好き。
大学ではデザインを学ぶ。フラットデザイン・マテリアルデザイン勉強中。

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